食物アレルギー

食物アレルギー(食物アレルギーの診療の手引き2014年による)

■定義
食物アレルギーとは、「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介
して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」をいう。
(食物アレルギー診療ガイドライン2012)

■有症率
即時型食物アレルギーの疫学
わが国における食物アレルギー有症率調査は諸家の報告より、乳児が約10%、3歳児が約5%、保育所児が5.1%、学童以降が1.3~4.5%とされている。全年齢を通して、わが国では推定1-2%程度の有症率であると考えられる。欧米では、フランスで3-5%、アメリカで3.5-4%、3歳の6% に既往があるとする報告がある。

■分類
1)新生児・乳児消化管アレルギー
主に非IgE依存性の機序により新生児・乳児に嘔吐や血便、下痢などの消化器症状を引き起こす。
牛乳(乳児用調製粉乳)

2)食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎
乳児アトピー性皮膚炎において認められる食物アレルギー。湿疹の増悪に関与している場合や、原因食物の摂取によって即時型症状を合併することもある。
鶏卵、牛乳、小麦、大豆など

3)即時型
原因食物摂取後、通常2時間以内に出現するアレルギー反応による症状を示すことが多い。
乳児~幼児:
鶏卵、牛乳、小麦、そば、魚類、ピーナッツなど
学童~成人:
甲殻類、魚類、小麦、果物類、そば、ピーナッツな

4)食物依存性運動誘発アナフィラキシー
原因食物を摂取後、運動を行ったときにアナフィラキシーを起こす疾患
アナフィラキシーとは,「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」をいう
A) 原因食物摂取から2時間(可能なら4時間)運動は控える。
B) 原因食物を摂らなければ運動は可能である(必ずしも運動を全面禁止にする必要はない)。
C)非ステロイド性抗炎症薬や食品添加物(サリチル酸製剤)、アルコール飲料や入浴で症状が増強する。
D) 小麦加水分解物含有石鹸「茶のしずく」を使用したことにより発症する小麦アレルギー(小麦依存性運動誘発アナフィラキシー)の健康被害が多数報告されている。
小麦、エビ、カニなど

5)口腔アレルギー症候群
口唇・口腔粘膜における果物・野菜等によるIgE抗体を介した接触蕁麻疹で、摂取後5分以内に症状を認めることが多い。
花粉症と合併する事が多い。
スギはトマト、ヨモギはニンジンマンゴと交差反応する

■注意すべき点
1)乳児・幼児早期の即時型食物アレルギーの主な原因である鶏卵、乳製品、小麦は、その後加齢とともに耐性を獲得する(3歳までに50%、学童まで80~90%)。
2)学童から成人で新規発症する即時型の原因食物は甲殻類、小麦、果物、魚類、ソバ、ピーナッツが多く、耐性獲得の可能性は乳児期発症に比べて低い。

■症状
頭痛、結膜充血、呼吸苦、くしゃみ、口腔粘膜の腫れ、悪心、血圧低下など

■検査
1) 血液検査
好酸球測定
2) IgE検査
3) 皮膚テスト
4) 好塩基球ヒスタミン遊離試験
5) 食物除去試験
6) その他

■治療
正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去
薬物治療
抗ヒスタミン薬
皮疹・瘙痒感のコントロール、誤食時の対応に用いる。
30分~1時間程度で効果が現れる。

■アナフィラキシーに対する注意点
1)症状の進行は早く、アドレナリン投与を含めて迅速な対処行動が要求される。
患者には至急医療機関を受診するように指導する。
医療機関においては症状の進行経過を見るためにも、十分な観察を行うべきである。
2) 気管支喘息の存在はアナフィラキシーの重篤化の危険因子なのでコントロールを十分に行う。
3) 一部の食物(ピーナッツなど)によるアナフィラキシーでは、経過中に二相性反応が見られることがある。このため、症状出現後4時間までは経過観察することが望ましい。

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