取材記事

2014年12月17日 水曜日

予防接種 取材


高齢者には予防接種が効果的
かぜやインフルエンザをこじらせ、2次感染によって発症する肺炎。日本人の死因の3位で、65歳以上を中心(約95%)に年間約12万人が亡くなっている。重症化を防ぐには、インフルエンザと同様に肺炎球菌の予防接種を受けておくことが大切だ。

【病原体はさまざま】
肺炎は、日常生活を送っている人が発病する「市中肺炎」と、病院に入院中に発病する「院内肺炎」に分けられる。原因となる細菌やウイルスなどの病原体はさまざまだ。日本呼吸器学会指導医で寺尾クリニカ(東京・新宿)の寺尾一郎院長=顔写真=が説明する。
「病原体は年代によって違いがみられ、65歳未満ではマイコプラズマが圧倒的に多く、次いで肺炎球菌。65歳以上では肺炎球菌が最も多く(30-40%)、インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは別もの)、嫌気性菌、緑膿(りょくのう)菌と続きます」
特にインフルエンザにかかると、気道の防御機能が低下して高齢者や幼児は肺炎を合併しやすいという。

【高齢者は症状が違う】
肺炎を疑う典型的な症状は、38度以上の高熱、激しいせきやタン。炎症が肺を包んでいる胸膜まで及ぶと胸が痛くなることもある。
「ただし、高齢者は発熱やせきなどの分かりやすい典型症状が現れない場合も多いので要注意です。高齢者では『食欲がない』『元気がない』など普段とようすが違うようだったら、まず肺炎を疑った方がいいでしょう」
中でも肺炎球菌は、気管支炎や副鼻腔(びくう)炎、急性中耳炎なども引き起こす場合がある。肺炎を重症化させて髄液中に菌が侵入すれば髄膜炎、血液中に侵入すれば敗血症を起こす恐れもあるという。
「単なるかぜと思っても、甘くみてはいけません。発熱やせきが1週間以上続くようなら、きちんと内科や呼吸器科を受信してください」

【ワクチン接種で予防】
診断は、血液、タン、尿、咽頭(いんとう)、X線などの検査から総合的に判断されるが、呼吸器専門医ならX線を見ればだいたい診断がつくという。
「肺炎には細菌性、ウイルス性、非定型とタイプがあり、処方する薬が異なります。タイプの違いはX線の陰影にも出るので診断には時間はかかりません。区別があきらかでないときは、2種類の抗生物質を投与することもあります」
予防は、かぜやインフルエンザを早く治すこと。高齢者や免疫力が低下する持病をもつ人は、インフルエンザワクチンに加えて、肺炎球菌ワクチン(効力5年)の予防接種を受けておいた方がいい。肺炎球菌の予防接種は、今年度から65歳以上の人は5歳刻みで公費助成の対象になっている。
「効果としては、両方のワクチンを接種すると入院を63%、死亡を81%減らせるという海外報告があります」

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2014年4月19日 土曜日

せき 取材記事

春は、さまざまな要因からせき症状が現れやすい。花冷えによる風邪、花粉症、黄砂、PM2.5などの原因が重複する場合もあり、治療法や対策が異なる。新年度の仕事のストレスも免疫力を低下させるので体調管理に注意しよう。

『花粉の破片が漂う』
花粉症といえば、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが典型だが、せきの原因にもなる。日本呼吸器学会指導医で寺尾クリニカ(東京・新宿)の寺尾一郎院長が説明する。
「花粉症で花汁がのどに流れると、喉頭を刺激してせきを誘発させます。また、スギ花粉の飛散ピーク後期になると、路上に蓄積した花粉が細かく粉砕されて空気中に漂う。それを吸い込むことで、のどや器管に炎症が起こるのです」
スギ花粉の直径は30-40マイクロメートル。通常、多くは鼻腔(びくう)粘膜に捕えられるが、粉々になった花粉の破片はのどの奥まで入り込んでいくという。

『黄砂の襲来も』
中国大陸内陸部の砂漠から偏西風に乗って飛来する黄砂も4月にピークを迎える。アンモニウムイオン、硫酸イオン、硝酸イオンなどの大気汚染物質を取り込んだ黄砂の大きさは直径4マイクロメートル付近。直径2.5マイクロメートル以下の物質になると微小粒子状物質「PM2.5」と総称される。
「大気汚染物質を吸着した黄砂は、せきぜんそくの原因の1つとして疑われています。せきぜんそくは発熱などの症状は伴わず、空せきが続く。血液検査ではアレルギー反応があり、呼吸機能検査は正常だが、末梢(まっしょう)気管支が炎症を起こして狭窄している状態です。風邪薬やせき止めは効かず、治療は吸入ステロイド薬を使います」
風邪の後に続いて起こることが多いので、せきが長引く場合は疑った方がいい。自然治癒することもあるが、再発を繰り返すと約30%がぜんそくに移行するので要注意だ。

『ストレスが誘発』
新年度の職場環境の変化や多忙による精神的ストレスもせき症状に関係する場合があるという。
「会社に行くとせきが出て、家では出ない。検査をしても異常がない。ストレスに弱い人の中には、自律神経の不調からせきが出る人がいます。その場合、皮膚のかゆみも伴う傾向がみられます」
気温や天候の変化が激しいこの時期に、過度なストレスが加わると免疫力が一層低下して、風邪以外の感染症にもかかりやすくなる。長引くせきは、マイコプラズマ肺炎・気管支炎や結核などの特徴でもあるので、早めに受診して原因をハッキリさせることが大切だ。
「せき症状を引き起こす要因が多いこの季節は、特に自己診断は禁物です。空気中を漂う10マイクロメートル以下の浮遊粒子状物質の対策は、家庭内では空気清浄機を上手に使うのがいいでしょう」

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2014年4月19日 土曜日

COPD 取材記事

呼吸器科専門医の寺尾院長は、地域のかかりつけ医の立場からCOPD(慢性閉塞性肺疾患)治療に力を入れている。
「COPDの症状がつらくなり、受診するのは60歳以上になってから。それでは遅い。1次診療では、咳症状で来院する患者さんがたくさんいます。その中から早く見つけて、この病気の怖さを理解してもらうことが非常に大切になります」
COPDは、慢性気管支炎と肺気腫の総称。気管支や肺胞に炎症が起こり、徐々に呼吸が困難になる進行性の肺病で、原因の90%以上は喫煙で起こる。

X線画像で肺が正常でないことを知らせる
「咳や痰(たん)が続く」 「階段の上り下りで息切れがする」が主症状だ。
「スパイロメーターという検査器で、息を吸って吐いてもらえば簡単に診断できます。ただし、一度破壊された肺胞は、治療しても元には戻りません。まず、進行を止める"禁煙"が最も重要な治療になります」
しかし、COPD治療の難しさは、その禁煙治療を受けてもらうところにあるという。
「COPDの裏には"ニコチン依存性"があるので、患者さん自ら禁煙の必要性を感じないと治療が進まない。この病気をよく説明して、なぜ禁煙できないのかじっくり話を聞き、適宣アドバイスしていくカウンセリングが必要です」
寺尾院長は、患者に危機感を持ってもらえるように、できるだけ"見える化"して分かりやすい説明を心がける。
「COPDは肺が膨張するので、X線画像で自分の肺が正常でないことを実感してもらう。重症度はスパイロメーターで、禁煙効果は一酸化炭素測定器の数値を示して確認してもらいます」
禁煙治療は、経口補助薬を中心に行われるが、禁煙症状がひどい人には精神安定剤を処方する場合もあるという。治療期間中(3ヶ月間)の禁煙成功率は約60%だ。
「重症のCOPDでは、酸素ボンベを使う"在宅酸素療法"が必要になります。その場合にも精神的なフォローが大切になります」

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2013年5月30日 木曜日

レジオネラ症 取材記事

温泉やプールなどで感染するレジオネラ症というものがあります。
また、レジオネラ症は不特定多数の方が集まる場所もですが、原因菌は日常の身の回りにいるため、家庭内でも感染の可能性があります。洗面台や風呂場は常に清潔にしておきましょう。

怖いのは肺炎症状
原因菌は、土中や河川、湖沼など自然界に普通に生息しているレジオネラ属菌。大量に含まれた水が霧のような細かい水滴(エアロゾル)となって空気中に舞った時、吸い込むことで感染する。
日本呼吸器科学会指導医で寺尾クリニカ(東京・新宿)の寺尾一郎院長=写真=は、「症状は2種類に大別される」(別項)と説明する。
「発熱が主症状の"ポンティアック熱"は一般的に軽症で無治療でも5日程度で治る。問題になるのは、入浴施設での死亡事故がたびたび報告されている"レジオネラ肺炎"。急激に重症化するので要注意です」
ただし、人から人への感染はないという。

ヌメリに菌が増殖
感染源になりやすいエアロゾルを発生させる施設には、循環式浴槽、露天風呂、給湯設備、加湿器などがある。
「レジオネラ属菌は特定のアメーバーに寄生し、細胞内で増殖する。そのアメーバーがいるのが、水回りや配管などにつくヌメリ(生物膜)。増えたレジオネラ属菌は最終的にアメーバーを食い破って外に放出される」
菌は水温70℃以上ではすぐ死滅するが、20―50℃であれば増殖し放題。家庭内では、24時間風呂や水を加熱しないタイプの加湿器などは絶好の生息場所になる。
「水を循環させたり、溜めて使う家庭製品は使用方法を守って、清潔に使うことが大事。こまめな掃除でヌメリの除去が感染予防になります」

高熱出たら早く受診
レジオネラ肺炎自体の発症頻度は肺炎全体の3―7%程度だが、肺炎の中でも肺炎球菌性肺炎と並んで致死率が高い。進行が速いのが特徴で、死亡者のほとんど受診から10日以内に死亡していると言われる。
「呼吸困難がなくても、10日以内に温泉など入浴施設利用があって高熱が出たら、念のため早く受診した方がいい。家庭内の原因で起こることも心得ておくように」
治療では、ペニシリンやセフェム系の抗菌薬が効かないので、医師に入浴施設の利用をきちんと伝えることが肝心。入院してキノロン系抗菌薬の点滴静注を行う。症状が改善すれば7―10日で退院できる。
「健康な成人がレジオネラ肺炎を発症するのはまれだが、免疫力の弱い幼児や高齢者、持病のある人は感染しやすく、重症化しやすい。自分は大丈夫でも家族に発症する場合がある」
寒くても水回りの衛生管理は忘れずに。

「レジオネラ症」の症状と特徴
★《ポンティアック熱》
・発熱、寒気、頭痛、筋肉痛、倦怠感
・潜伏期間1―2日、軽症で数日で治ることが多い

★《レジオネラ肺炎》
・高熱、呼吸困難、筋肉痛、吐き気、下痢、意識障害
・潜伏期間4―5日、急激に重症化して死亡することも

投稿者 寺尾クリニカ | 記事URL

2013年5月30日 木曜日

スギ花粉喘息 取材記事

春や秋の季節の変わり目に発症、悪化しやすい喘息。とくに春の喘息は、スギ花粉の飛散時期に合わせて悪化しやすい。スギ花粉自体は気管支まで届かない。だが、花粉表面に付いている微小粒子が喘息を誘発させるケースがあるので要注意だ。

肺に微小粒子が侵入
スギ花粉の大きさは、だいたい30マイクロ?(0・03ミリ?)。このサイズでは通常、鼻の粘膜にキャッチされるので、気管支や肺に付着することはない。では、なぜスギ花粉が多く飛ぶと喘息発作が増えるのか。

呼 吸器科・アレルギー科「寺尾クリニカ」(東京・新宿)の寺尾一郎院長は「実は近年、スギ花粉の周りに付いている『オービクル』という物質が関係しているこ とが分かってきたのです。容易にはがれ、大きさは0・5―1マイクロ?。空気中をフワフワ漂い落下しない微小粒子サイズなので肺の奥まで入りやすい」と説 明する。

オービクルは花粉内部と異なる抗原性をもち、吸入されることで喘息が誘発されるという。

花粉症も引き金に
ただ、寺尾院長は「あくまでオービクルは誘因のひとつ」とこう話す。

「花粉症で鼻が詰まれば口呼吸になる。すると口腔内が乾いて、温度や湿度が保てなくなり、風邪を引きやすくなる。風邪は喘息発作を招きます。また鼻水がのどに流れ、気管を刺激して咳や喘鳴を起こすこともある。花粉症が引き金になることもあるのです」

加えて、アスファルトが多い市街地では、飛散した花粉がいつまでも残存する。すると次第に細かく粉砕された花粉がシーズン後期では、「空気中に漂うサイズになって喘息を誘発させる可能性がある」という。

スギ花粉による喘息への影響は、5―6月ごろまで持続するとみられているから要注意だ。

空気清浄機で除去
他にも春の喘息の誘因には、気温の寒暖差、年度末の過労やストレスなどの影響もあげられる。予防には、「風邪予防」「スギ花粉対策」「日常の体調管理」が肝心だ。

室内に入り込むスギ花粉本体は床に落ちるので濡れタオルなどで除去しやすい。が、「空気中を漂うオービクルなどの浮遊粒子状物質(10マイクロ?以下)は空気清浄器でないと除去は難しい」(寺尾院長)という。

たとえスギ花粉喘息であっても症状は、咳、タン、喘鳴、呼吸困難と従来の喘息と変わりはなく、治療も同じで"吸入ステロイド薬"が基本だ。

寺尾院長は「スギ花粉症を甘くみてはいけません。生命にも関わる全身症状を起こしうる病気という認識が必要です」と忠告する。

春に喘息発作が増える誘因
★スギ花粉表面に付着する微小粒子状物質「オービクル」の吸入
★花粉症による鼻閉で口呼吸になり、風邪を引きやすい
★花粉症による鼻水がのどに流れ、気管が刺激される
★粉砕された花粉粒の破片の吸入
★外気温の寒暖差
★年度末の過労やストレスによる体調不良

投稿者 寺尾クリニカ | 記事URL

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