取材記事

2014年4月19日 土曜日

せき 取材記事

春は、さまざまな要因からせき症状が現れやすい。花冷えによる風邪、花粉症、黄砂、PM2.5などの原因が重複する場合もあり、治療法や対策が異なる。新年度の仕事のストレスも免疫力を低下させるので体調管理に注意しよう。

『花粉の破片が漂う』
花粉症といえば、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが典型だが、せきの原因にもなる。日本呼吸器学会指導医で寺尾クリニカ(東京・新宿)の寺尾一郎院長が説明する。
「花粉症で花汁がのどに流れると、喉頭を刺激してせきを誘発させます。また、スギ花粉の飛散ピーク後期になると、路上に蓄積した花粉が細かく粉砕されて空気中に漂う。それを吸い込むことで、のどや器管に炎症が起こるのです」
スギ花粉の直径は30-40マイクロメートル。通常、多くは鼻腔(びくう)粘膜に捕えられるが、粉々になった花粉の破片はのどの奥まで入り込んでいくという。

『黄砂の襲来も』
中国大陸内陸部の砂漠から偏西風に乗って飛来する黄砂も4月にピークを迎える。アンモニウムイオン、硫酸イオン、硝酸イオンなどの大気汚染物質を取り込んだ黄砂の大きさは直径4マイクロメートル付近。直径2.5マイクロメートル以下の物質になると微小粒子状物質「PM2.5」と総称される。
「大気汚染物質を吸着した黄砂は、せきぜんそくの原因の1つとして疑われています。せきぜんそくは発熱などの症状は伴わず、空せきが続く。血液検査ではアレルギー反応があり、呼吸機能検査は正常だが、末梢(まっしょう)気管支が炎症を起こして狭窄している状態です。風邪薬やせき止めは効かず、治療は吸入ステロイド薬を使います」
風邪の後に続いて起こることが多いので、せきが長引く場合は疑った方がいい。自然治癒することもあるが、再発を繰り返すと約30%がぜんそくに移行するので要注意だ。

『ストレスが誘発』
新年度の職場環境の変化や多忙による精神的ストレスもせき症状に関係する場合があるという。
「会社に行くとせきが出て、家では出ない。検査をしても異常がない。ストレスに弱い人の中には、自律神経の不調からせきが出る人がいます。その場合、皮膚のかゆみも伴う傾向がみられます」
気温や天候の変化が激しいこの時期に、過度なストレスが加わると免疫力が一層低下して、風邪以外の感染症にもかかりやすくなる。長引くせきは、マイコプラズマ肺炎・気管支炎や結核などの特徴でもあるので、早めに受診して原因をハッキリさせることが大切だ。
「せき症状を引き起こす要因が多いこの季節は、特に自己診断は禁物です。空気中を漂う10マイクロメートル以下の浮遊粒子状物質の対策は、家庭内では空気清浄機を上手に使うのがいいでしょう」

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2014年4月19日 土曜日

COPD 取材記事

呼吸器科専門医の寺尾院長は、地域のかかりつけ医の立場からCOPD(慢性閉塞性肺疾患)治療に力を入れている。
「COPDの症状がつらくなり、受診するのは60歳以上になってから。それでは遅い。1次診療では、咳症状で来院する患者さんがたくさんいます。その中から早く見つけて、この病気の怖さを理解してもらうことが非常に大切になります」
COPDは、慢性気管支炎と肺気腫の総称。気管支や肺胞に炎症が起こり、徐々に呼吸が困難になる進行性の肺病で、原因の90%以上は喫煙で起こる。

X線画像で肺が正常でないことを知らせる
「咳や痰(たん)が続く」 「階段の上り下りで息切れがする」が主症状だ。
「スパイロメーターという検査器で、息を吸って吐いてもらえば簡単に診断できます。ただし、一度破壊された肺胞は、治療しても元には戻りません。まず、進行を止める"禁煙"が最も重要な治療になります」
しかし、COPD治療の難しさは、その禁煙治療を受けてもらうところにあるという。
「COPDの裏には"ニコチン依存性"があるので、患者さん自ら禁煙の必要性を感じないと治療が進まない。この病気をよく説明して、なぜ禁煙できないのかじっくり話を聞き、適宣アドバイスしていくカウンセリングが必要です」
寺尾院長は、患者に危機感を持ってもらえるように、できるだけ"見える化"して分かりやすい説明を心がける。
「COPDは肺が膨張するので、X線画像で自分の肺が正常でないことを実感してもらう。重症度はスパイロメーターで、禁煙効果は一酸化炭素測定器の数値を示して確認してもらいます」
禁煙治療は、経口補助薬を中心に行われるが、禁煙症状がひどい人には精神安定剤を処方する場合もあるという。治療期間中(3ヶ月間)の禁煙成功率は約60%だ。
「重症のCOPDでは、酸素ボンベを使う"在宅酸素療法"が必要になります。その場合にも精神的なフォローが大切になります」

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