朝日新聞連載記事

2019年3月 8日 金曜日

朝日新聞に連載vol9



Q
現在、妊娠5カ月なのですが、夫がヘビースモーカーで禁煙をしてくれません。子供への影響がとても心配です。受動喫煙のことを詳しく教えてほしいです。

A
≪定義≫
受動喫煙は、非喫煙者が自分の意思に関わらず、タバコ煙あるいはタバコ臭に曝露されることです。電子タバコ、加熱式タバコなどの新型タバコも受動喫煙を発生します。
≪分類と診断≫
受動喫煙に曝露された時に色々な症状が出現する場合に受動喫煙症とします。
 レベル0:正常。非喫煙者で受動喫煙の機会がない。
 レベル1:無症候性旧姓受動喫煙症。タバコ煙に急性曝露の症歴があるが症状はない。
 レベル2:無症候性慢性受動喫煙症。タバコ煙に慢性的に曝露しているが症状はない。
 レベル3:急性(再発性)受動喫煙症。症状が受動喫煙曝露後に出現し、受動喫煙がなくなれば無症状である。
 レベル4:慢性(再発性)受動喫煙症。急性受動喫煙症を繰り返して、症状または疾患が持続する。
 レベル5:重度受動喫煙症。致死的な病態または重篤な後遺障害の合併になる
≪受動喫煙の妊娠への影響≫
①流産
②死産
③子宮外妊娠
④障害児出産(注意欠陥多動障害)
⑤その他
≪受動喫煙の子供への影響≫
①中耳炎
②気管支喘息
③肺炎・気管支炎
④虫歯
⑤小児がん
⑥その他
≪治療≫
早期に受動喫煙の環境を回避することです。

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2018年12月10日 月曜日

朝日新聞に連載vol8



Q
30代男性です。社会人になってから喫煙しはじめて10年以上経ちますが、会社で喫煙所が撤去されることになり、よい機会なので禁煙しようかと思います。禁煙治療はどんな治療をしますか?保険適用の適用条件はあるのでしょうか。

A
保険適用の禁煙治療を受けることのできる方は、次の4項目全てに該当する場合です。
①ニコチン依存症に係るテストでニコチン依存症と診断された方(10点中5点以上)
②35歳以上の者については、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が、200以上である方
③ただちに禁煙することを希望している方
④禁煙治療を受けることを文書により同意された方

なお2016年4月から、34歳未満に対しては、②の喫煙本数と喫煙年数による指数の条件が撤廃されました。

現在行われている禁煙治療は、バレニクリンという飲み薬と貼り薬の2つです。それぞれ特徴があります。飲み薬は効果が強く、ニコチンを含みませんが、嘔気、不眠、頭痛などの副作用があります。貼り薬は効果が弱く、ニコチンを含み、皮膚にアレルギー症状が出やすく、重度の狭心症や不整脈、心筋梗塞後などの心疾患がある方には使用できません。禁煙外来のスケジュールは、初診時を含めて5回、3か月間のプログラムが通例です。費用は5回トータルで12000円~20000円が一般的になっています。

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2018年9月15日 土曜日

朝日新聞に連載vol7



Q
78歳の父と暮らしていますが、最近、食事中に咳き込むことが多くなり、気がかりです。誤嚥性肺炎が心配です。病院を受診するべきでしょうか。

A
超高齢社会において、誤嚥性肺炎は増加傾向にあります。2015年の厚生労働省・人口動態統計によると、肺炎による死亡者数のうち、約96%が65歳以上です。また、高齢者が罹患する肺炎のうち、7割以上が誤嚥性肺炎です。死亡率は100人/人口10万です。
発症しやすいのは、嚥下機能の低下した高齢者、脳梗塞後遺症やパーキンソン病などの脳神経疾患や寝たきりの患者に多く発生します。
≪原因≫
嚥下機能障害のため唾液、食べ物、胃液などと共に口腔内の細菌を気道に吸引することで発症します。
≪症状≫
発熱、咳、痰などが典型的な症状です。しかし、これらの症状がなく、元気がない、食欲がない、意識障害などの症状のみがみられることが多いです。
≪検査≫
胸部X線写真で肺炎像を確認し、白血球増加や炎症反応が亢進しています。
≪治療≫
咳き込みが多い場合には、すぐに医療機関(呼吸器科)を受診して下さい。抗菌薬などの薬物治療が中心ですが、呼吸状態や全身状態が不良な場合は入院治療が必要です。高齢者や中枢神経障害などで寝たきりの患者に発症することが多いので、予後不良の場合も少なくありません。

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2018年7月21日 土曜日

朝日新聞に連載vol6



Q
4歳の娘が喘息で通院しています。子どもの喘息は成人になると治ると聞きましたが、本当でしょうか。早く治るアドバイスがあれば教えて下さい。

A
小児ぜんそくについてお話しいたします。
≪定義≫
発作性に喘息を伴う呼吸困難を繰り返す気道の慢性炎症性疾患であり、自然にまたは治療により軽快、治癒します。
≪特徴≫
小児は発育の途上にあり、2才未満に生じる事が多いです。アレルギーの家族歴、IgE高値、ダニに対する抗体が陽性の場合にはリスクが高く、早期治療が大切です。有病率は3~5%と高値です。
≪診断≫
小児の診断は、成人よりも困難ですが、アレルギー検査(皮膚テスト、血液検査、鼻汁塗沫テスト)、呼吸機能検査などを行います。
≪治療≫
定期的な吸入ステロイド薬や内服薬の治療だけではなく、①アレルギーの原因の除去②減感作療法③体質の改善、強化④病気に対する不安感の軽減が大切です。また、喘息日誌やピークフロー値の測定などで、喘息の程度を毎日把握する必要があります。
≪予後≫
従来、小児ぜんそくは治りやすく、成長すれば治ると言われていましたが、最近、治癒率は30%~40%と低下し、約40%は成人喘息に移行すると言われています。我が国の死亡率は減少傾向にありますが、まだ海外に比べて高くなっています。定期的な受診、患者や家族の意識の向上、発作止めの乱用を控えるなどが大切です。

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2018年7月 2日 月曜日

朝日新聞に連載vol5



Q
最近、階段を登る時の息切れがひどく、近くの医院を受診したら「肺気腫」と診断されました。完治しないと言われたのですが、本当でしょうか?良い治療法などはありますか?

A
現在、肺気腫と慢性気管支炎を合わせてCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と呼びます。よって、ここではCOPDについてお話し致します。COPD患者の90%は喫煙者であり、非喫煙者に比べて喫煙者ではCOPDの発症リスクが高くなります。ただし、喫煙者全員がCOPDを発症するわけではありません。特に炎症が肺胞に至ってしまう場合(肺気腫)は、肺胞が破壊されてしまうので完治することはありません。日本においては、軽症、中等度のCOPDが多く、特に軽症が多くなっています。COPDにおいては肺がん、心筋梗塞、心房細動などの不整脈が発症することが多く注意する必要があります。従って、治療は、肺癌、心筋梗塞を予防のために禁煙をし、感染予防のために肺炎球菌予防ワクチンを接種し、体力維持のために適度な運動が必要です。また、COPDの症状(呼吸苦)を緩和するためには気管支拡張の吸入が有効です。最近は抗コリン剤β2刺激剤を混合した気管支拡張剤の吸入剤が最も有効である事が示されています。また、COPDは肺がんを併発することが多く、胸部CTなどで経過を観察することも必要です。
<病気分類>GOLDや日本呼吸器学会の分類では、COPDの重症度はスパイロメトリー検査により、1秒量の正常値に対するパーセント(FEV1/predicted FEV1)で、0期(COPD予備軍)およびⅠ期~Ⅳ期5期に分類される。

投稿者 Genova | 記事URL

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