朝日新聞連載記事
2020年7月 9日 木曜日
朝日新聞に連載vol14
Q
子どもが小児ぜんそくです。感染症対策として特に気を付けることはありますか?また、マスクをつけてもすぐに外してしまいます。どのようにしたらよいでしょうか。
A
お答えいたします。小児喘息の増悪要因の一つとして、感冒などの感染症が挙げられます。現在、新型コロナウイルス感染症が話題になっておりますが、感染予防のために、小児においても免疫力をつけることは重要です。具体的には栄養、睡眠、精神的な安静に注意することです。感染予防として飛沫を直接浴びないという点から、マスクをすることは重要であると思いますが、小さなお子さんには難しいと思います。小さなお子さんのほとんどは、家庭内においてご家族から感染しますので、ご家族の方が感染しないこと、さらに感染した方からの距離を保つことが、お子さんの感染予防に繋がると思います。また、病原体に汚染された玩具などに触れた手で、口や鼻、目を触ることでも感染しますので、手洗いや玩具などの消毒も大事です。もし保育所、幼稚園、学校などにおいて感染者が発生した場合には、一定期間、休園や休校をして感染予防することも必要であります。さらに、インフルエンザ予防のために毎年ワクチンを必ず接種することも大切であります。当然ながらお子さんが、喘息発作を起こさないために、内服や吸入などは必ず毎日行ってください。
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2020年4月14日 火曜日
朝日新聞に連載vol13
Q
感染症の予防はどのようなことが有効でしょうか。
A
感染症の予防のために必要なことは、感染経路を遮断すること、抵抗力を高めることなどであります。
(1)感染経路を遮断することの具体的なことは、
①帰宅時、食事の前などに石鹸で手指を丁寧に洗い、アルコールで乾くまで消毒することです。
②咳やくしゃみによる飛沫による病原体の飛散を予防するためにマスクを着用することが、特に屋内や乗り物など換気が不十分な環境では非常に有効です。
③病原体で汚染した手指で目、鼻、口などを触るとこれらの粘膜から感染する可能性がありますので注意が必要です。
④咳や発熱などの症状がある人に近づかない、人混みの多い場所に行かないことも必要です。
⑤咳やくしゃみが出るときは、飛沫に病原体を含んでいる可能性があるので、咳エチケットを心がけることが大切です。
(2)抵抗力を高めるには、
①十分な睡眠、バランスのよい食事を摂取すること、精神的なストレスを軽減することなどに心がけることが必要です。
②空気が乾燥すると上気道粘膜の防御力が低下するので、加湿器などを用いて適切な湿度(50~60%)を保つことが大切です。
③高齢者や呼吸疾患、糖尿病などの慢性疾患がある方は、ワクチンを接種することが大切です。
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2020年1月14日 火曜日
朝日新聞に連載vol12
Q
鼻水も痰もありませんが、から咳が3週間ほど続いています。止まらなくなって苦しくなるのですが、ただの風邪でしょうか。
A
咳の原因は色々とありますのでお答え致します。
感冒によるものが多いと思いますが、この咳は、徐々に軽くなり2~3週間すれば治ります。ところが、3~4週間以上、特に8週間以上続く咳は、感染症以外の病気を考えるべきです。肺癌、肺結核症、間質性肺炎、心不全、肺炎などの重い病気が原因となっている場合もあるので、胸部X線検査にて、喘息やCOPDなどの気道狭窄病変があるかどうかを確認する必要があります。さらに、咳に痰が伴うかどうかに注目すべきです。
痰を伴う場合は、喘息、COPD、副鼻腔気管支症候群などを考えるべきです。痰を伴わない場合には、関喘息、アトピー性咳嗽、心因性咳嗽、マイコプラズマ、百日咳、胃食道逆流症などを考えるべきです。マイコプラズマは3~4週間経過すると痰を伴います。百日咳は、発作性の咳、吸気性笛声、せき込み後の嘔吐などがあります。胃食道逆流症は、胸やけなどの症状があり、会話、起床、食事などで咳は悪化します。咳喘息は、気管支拡張剤で改善しますが、アトピー性咳嗽は、改善しません。心因性咳嗽は精神的なストレスが原因であり、食欲低下、不安、不眠などの症状が伴います。以上の様に長引く空咳は、さまざまな要因で発症します。
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2019年10月 7日 月曜日
朝日新聞に連載vol11
Q
40代女性です。もともといびきをかきやすいのですが、最近、日中の眠気がひどくなってきました。一緒の部屋で寝ている夫から「いびきがとまったと思ったらまた再開して、すごく苦しそうにしている」と言われました。もしかして睡眠時無呼吸症候群なのでしょうか。
A
症状から、睡眠時無呼吸症候群が疑われますので検査を受けてください。
≪概要≫
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に呼吸停止または低呼吸が引き起こされる病気です。自覚していない場合が多く、患者は200~300万人と推定されています。
≪症状≫
いびき、無呼吸、日中の強い眠気、夜間の頻尿、集中力・記憶力の低下、夜間の中途覚醒や口渇などが挙げられます。
≪合併症≫
高血圧、多血症、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、不整脈、突然死などがあります。
≪検査および診断≫
終夜ポリソムノグラフィー検査を行い、無呼吸や低呼吸が睡眠1時間あたりに発生している回数を調べ、睡眠時無呼吸症候群を診断します。無呼吸・低呼吸指数が5~14回が軽症、15~29回が中等度、30回以上が重症です。
≪治療≫
その原因のひとつに肥満が挙げられ、生活習慣を改善し、体重を減らすことで無呼吸が改善する場合があります。軽度の場合、マウスピースの使用でいびきの解消や気道閉塞の改善が期待できます。中等度以上の場合、マスクを装着し鼻から空気を送り、上気道を開く持続陽圧呼吸療法が有効です。子どもの睡眠時無呼吸症候群では、扁桃肥大・アデノイドが原因であることが多いため、外科的手術が適応となります。
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2019年7月12日 金曜日
朝日新聞に連載vol10
Q
友人の子ども(小学2年生)がマイコプラズマ肺炎にかかったそうです。どのような病気でしょうか。教えてください。
A
≪定義≫
マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマを病原体とする呼吸器感染症であり、小児や若い人に多い肺炎です。従来は4年周期で流行し、オリンピック病と言われましたが、1992年以降はこの周期性がなくなっています。
≪症状≫
発熱や全身倦怠感、頭痛、痰を伴わない(初期)咳などの症状がみられます。咳は熱が下がった後も長期にわたって(3~4週間)続くのが特徴です。また喘息様気管支炎を呈することは比較的多く、感染様式は感染患者からの飛沫感染と接触感染によります。
≪診断≫
血液検査では炎症反応が陽性、寒冷凝集反応は本疾患のほとんどで陽性、マイコプラズマ抗体の上昇。胸部レントゲン検査では通常の肺炎と異なり淡い陰影が認められます。
≪治療≫
主にマクロライド系の抗菌薬(クラリスロマイシン)が使用されているが、近年その耐性株の割合が著明に増加しており問題です。 ≪診断≫
血液検査では炎症反応が陽性、寒冷凝集反応は本疾患のほとんどで陽性、マイコプラズマ抗体の上昇。胸部レントゲン検査では通常の肺炎と異なり淡い陰影が認められます。
≪予後≫
元気で一般状態も悪くないことが特徴であると言われていますが、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎などの合併症も発症することもあるため、正確な診断と適切な治療が大切です。
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