朝日新聞連載記事

2022年12月16日 金曜日

朝日新聞に連載vol24



Q
70代の父は10年前まで喫煙していました。基礎疾患はないのですが、やはり喫煙経験者だと肺の病気や新型コロナウイルスなどかかりやすいのでしょうか。高齢なので心配です。

A
お答え致します。
新型コロナウイルス感染と喫煙に関しては多くの論文が報告されています。結論としては、喫煙者(喫煙歴のある人を含めて)は、非喫煙者に比較して新型コロナウイルスに感染しやすく、重症化しやすいことが示されています。さらに、喫煙の本数が多いほど重症化しやすいと言われています。新型コロナウイルスは、人間の気道などにあるACE2受容体から体内に侵入することが判明しています。タバコに含まれるニコチンがこの受容体を増加させ、新型コロナウイルスが体内に増加するので、感染しやすく重症化しやすくなります。また、長期間喫煙していると、タバコに含まれる多くの有害物質(発癌物質を含め)により、細胞が障害を受けCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、間質性肺炎、肺癌、その他の癌、心筋梗塞などの心臓病などにかかりやすいと言われています。
従って、基礎疾患はなくても、40~50年の喫煙歴があれば特に、肺の病気がある可能性が高いので、是非、定期的に健康診断を受けてください。また、新型コロナウイルスに感染しないためにも、また、感染しても重症化しないためにもワクチン接種をされることをお勧め致します。

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2022年9月13日 火曜日

朝日新聞に連載vol23



Q
夫が煙草をやめてくれません。喫煙者は肺がんのリスクが高いと聞きました。夫に肺がんの症状を説明し、煙草をやめてもらいたいと思っています。肺がんの具体的な症状を教えてください。

A
お答え致します。
肺がんには、肺そのものから発生した原発性肺がんと他の臓器から発生し、肺に転移した転移性肺がんがあります。肺がんは、早期であれば手術が最も治癒の期待できる治療法ですが、発見された時には進行している場合が多く、すべてのがんの中では、治療が難しいがんの一つです。肺がんの原因の70%はタバコで、その他に受動喫煙、環境(アスベストの吸入など)、食生活、放射線、薬品などが挙げられます。タバコには約60種類の発がん物質が含まれており、肺や気管支が繰り返し発がん物質に曝され細胞に遺伝子変異が起こりがんになります。ですから、喫煙数や喫煙年数が多いほど肺がんになるリスクが高くなります。肺がんに特徴的な症状はありません。肺がんの種類、発生部位、進行度によって症状は異なります。せき、たん、血たん、倦怠感、発熱、体重減少、胸痛などさまざまですが、これらの症状は他の呼吸器の病気でもみられます。最も多いのは無症状で、他の病気で胸部エックス線や胸部CTを撮ったときに偶然発見されます。しかし、胸部エックス線では早期の肺がんを見つけるのは困難ですから、胸部CTを撮ることが必要です。

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2022年6月10日 金曜日

朝日新聞に連載vol22



Q
ぜんそくと肺炎を見分けるには、何が一番の違いになりますか。また、ぜんそくから肺炎になることがあるのか、肺炎に対して気を付けたほうがよいことがあれば教えてください。(55歳女性)

A
お答えします。
喘息は気道(空気の通り道)に炎症が続き、さまざまな刺激に気道が敏感になって発作的に気道が狭くなり、せき、たん、息切れが夜間や早朝に出やすい病気です。炎症の原因は、ほこり、ダニ、ペットのフケなどのアレルギーによることが多いです。一方、肺炎は、細菌やウイルスなどの微生物が感染して、肺に炎症を起こす病気です。原因となる微生物は、肺炎球菌が最も多く、ほかにインフルエンザ菌などがあります。せき、たん、息切れ、胸の痛み、発熱などの症状がみられます。このことから、喘息と肺炎を見分けるのは、発熱があるかどうか、症状の発現が発作的かどうか、症状の出現する時間や環境などです。喘息の方の気管に、微生物が入ると気管支炎になり、さらに肺炎に至ることがあります。肺炎予防に必要なことは、まずは肺炎球菌ワクチンなどの予防接種が大切です。それと手洗い、うがい、マスク着用をして、体に微生物が侵入してくるのを防ぐことです。さらに、体内に侵入した微生物を殺す役割を担う白血球のはたらきを高めるため、免疫力を強化する食事を摂ることが大切です。

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2022年2月15日 火曜日

朝日新聞に連載vol21



Q
自分のいびきで目が覚めたり、妻からもいびきがうるさすぎると言われ、改善のために通院を考えています。病院ではどのような治療をするのでしょうか。

A
ご質問にお答え致します。
睡眠中は全身の筋肉が緩み、舌を支える筋肉も緩み、気道が狭くなり空気が通る時に周りの組織が振動していびきが起こります。いびきには無呼吸を伴わない場合と伴う場合があります。無呼吸を伴わないいびきは鼻づまりや疲労、飲酒、風邪などが原因です。無呼吸を伴ういびきは、昼間の眠気が出現し、仕事に集中できなかったり、車の運転中に事故を起こしたりします。また新陳代謝に異常をきたすため、肥満になり、糖尿病、高血圧症に至ることもあります。血液中の酸素が低下し、心臓や脳に酸素が行き渡らず心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を引き起こす可能性もあります。睡眠時の無呼吸を伴ういびきであれば、呼吸器内科を受診してください。睡眠の状態を調べる終夜睡眠ポリグラフという検査があり、1時間あたりのAHI(無呼吸低呼吸指数)が5から15回を軽度、15から30回を中等度、30回以上を重度と判定します。日本では中等度以上の場合は、マスクから強制的に空気を送り込み気道を拡げる持続陽圧呼吸療法(CPAP)を行います。外来では、医師がAHI及び症状などをチェックし安全に治療して頂けるように管理してゆきます。

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2021年11月10日 水曜日

朝日新聞に連載vol20



Q
50代夫は喘息もちで、医師から禁煙するように言われているのに、タバコがやめられないようです。このまま禁煙できないとどうなってしまうのでしょうか。なんとか止めさせる方法はありませんか。

A
お答え致します。
喘息の患者さんが喫煙を持続すると、慢性的に気道に炎症が増強し、非可逆的に気道が狭くなり喘息が重症化し、さらに慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)を合併して、日常生活に支障をきたし最終的には酸素を常に吸わないと生活することが出来なくなります。タバコの煙にはベンゼン、トルエン、ホルムアルデヒドなどアレルギーを誘発する物質が多く含まれており、喘息を誘発し増悪させ、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を増悪させます。さらに、タバコの煙には、ベンゼン、カドミウム、アセトアルデヒド、ニトロソアミンなどの発がん性物質が多く含まれていますので、喫煙者は肺癌や他の癌を発症する可能性が高いです。禁煙をするには、禁煙外来を受診するのが確実だと考えます。しかし、現在、アメリカ製薬会社が経口禁煙補助薬(チャンピックス)の出荷を停止しています。しかし、別の禁煙補助薬(ニコチネル)がありますので禁煙をご希望の方は禁煙外来を受診してみてください。喫煙は喘息の患者さんに限らず健康を害するものですので禁煙をしましょう。特に、喫煙者はコロナウイルスに感染すると重症化する確率が高いです。

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