寺尾クリニカブログ

2026年4月29日 水曜日

喘息の管理、診断、治療、および医療体制における主な問題点を整理して解説します

1. 患者の自己管理とアドヒアランス(服薬遵守)の問題

*アドヒアランスの不良
特に多忙な社会人の医療機関受診の遅れや服薬コンプライアンスの悪さが指摘されています。この理由として、治療の理解不足、動機付けの欠如、治療法の複雑さ、経済的・社会的理由が挙げられます。

*自己判断による中断
症状が消えると、医師の指示を待たずに自己判断で服薬(吸入も含む)を減量・中止してしまうケースが多く、これが重症化や再発を起こす大きな問題となっています。

2. 吸入技術のエラー

*高いエラー頻度
吸入療法が喘息治療の中心ですが、多くの患者が正しく使用できず、手技エラーの頻度は25.7%から71.4%に達します。

*デバイスの多様性による混乱
多くの吸入デバイスが存在することが、患者だけでなく医療従事者の混乱も招き、手技エラーにつながっています。

3. 医療制度と移行期医療の課題

*移行期医療の不備
小児科から内科への受け渡しに関して、20歳での医療費助成終了による弊害、内科医の小児疾患への理解不足、小児科医と内科医の連携不足が問題となっています。

*強すぎる信頼関係
保護者と小児科主治医との関係が強すぎることがあり、また内科への転科を妨げられることが起こります。

*地域格差
喘息患者数は都道府県間で大きなばらつきがあり、救急体制の整備や医師と非医師の連携が困難な地域が存在します。

4. 診断と喘息の課題

*診断の難しさ
喘息は、他の心肺疾患(COPDや心不全、腫瘍など)との鑑別が重要ですが、時に誤診されたまま難治性として扱われるケースがあります。本来は呼吸器専門医が診断・治療をすべきですが、専門医の不足により、正しい診断・治療がなされていないケースを体験します。

*重症喘息への対応
それまでの治療(高用量吸入ステロイドなど)でもコントロール不良な喘息が5〜10%存在し、これらの症例に対する生物学的製剤の適切な対処や、副作用の強い全身ステロイド薬の回避が課題です。
私も、喘息の審査員をしておりますが、ステロイドの投与を毎日継続的に行っている医療機関や漢方薬を複数投与したりする医療機関があります。
このような治療は非常に危険です。
さらに、生物学的製剤に関する知識が十分でなく不適切な投与をしている医療機関があります。

5. 社会的損失と喘息死

*治療の遅れ
喘息死の最大の原因は、正しい治療の遅れという社会問題です。

*周囲の理解不足
職場や学校で喘息であることを隠しそうとして吸入治療を行わず、結果として重症化するケースがあります。

まとめ
1)一番の問題は、喘息を正しく診断し治療できる呼吸器専門医が圧倒的に少ないことだと思います。呼吸器科以外の医師の場合には誤診する可能性があると思います。

2)治療に関しては、医師が吸入の仕方などを説明すべきですが、ほとんどの医師は行っていません。また、薬剤師もあまり詳しく説明してないと思います。ですから患者さんも正しい治療(吸入)ができないのだと思います。

3)喘息の治療の基本は吸入でありますが、患者さんは、症状が改善すると中止することが多く、再発作を起こします。この点に関しては、医師が十分に必要性を説明すべきです。

4)医療制度の問題は、明確に16歳を目安に、小児科医が専門の医師に医療を任せるようにすべきだと思います。

5)難治性喘息に関しては、私も苦い経験がありますが、ステロイドの副反応を防ぐために、内服を発作時に限り使用する。予防のための吸入を定期的に必ず行う。それでもコントロ-ルができない場合には、患者さんに合った生物学的製剤を選択することが大切です。

6)現在、喘息死は減少していますが、年間1.000から1.500人ぐらいの患者さんが亡くなっています。要因は治療の遅れが75%です。仕事の疲労やストレスにより発作が起きたり、仕事を優先し治療が遅れることで亡くなります。

現在、喘息は治療薬が進歩していますので、正しい診断・治療を行えば、重症化せず、日常生活を送れると思います。
今後も、喘息死がゼロになるように努めたいと思っています。



投稿者 寺尾クリニカ | 記事URL

2026年4月27日 月曜日

日本人の80%は不安遺伝子を持っている

日本人は、遺伝的・歴史的に見て非常に「不安を感じやすい」性質を持っていることが裏付けられています。
その主な理由は以下の3つのポイントにあります。

1.圧倒的に高い「不安遺伝子(S型)」の保有率
科学的な調査により、日本人の約80%がS型を保有していることが判明しています。さらに、65-68%が最も不安を感じる「SS型」を保有しています。
これは他国と比較すると目立って高い数値です。
中国人:75%
台湾人:70%
アメリカ人:約44%
南アフリカ人:約28%
(中国人、台湾人も高い保有率です)
この遺伝的特性により、日本人は物事を考え過ぎて、不安になる傾向にあると思います。

2. 限界な自然環境
おそらく日本人にこの遺伝子があるのは、日本の地理的関与が関係していると考えられています。
日本は歴史的に地震や台風などの自然災害が非常に多い国です。
最近も地震、山火事などの災害が非常に多いです。
このような厳しい環境下では、楽観的な人よりも、常に不安を感じて最悪の事態に備えていた人の方が、生き延びる確率が高くなります。
その結果、長い年月を経て不安を感じやすい遺伝子を持つ人が生き延びたと考えられます。

3. 不安を加速させる現代の社会的背景
遺伝的な要素に加え、現代特有の懸念が日本人の不安をさらに高めています。
経済的ストレス:日本人の一番のストレス源は「給与の安さ」「老後の生活や年金」「物価が高い」といった「経済面への不安」が1位となっています。

SNSの影響:特に若年層では、SNSで他人の充実した生活(ハイライト)を見ることで、自分だけが取り残されていると感じるFOMO(Fear of Missing Out:取り残されることへの恐怖)によって不安を感じます。

孤独の問題:日本では「ひきこもり」や「8050問題」といった深刻な社会的孤独が、問題になっています。
*「8050問題」ちは、80歳の高齢の親が、50歳代の未婚・無職や引きこもりの子供を世話するという社会問題です。

まとめ
不安を感じるのは、危機を察して脳が起こす反応であり、悪いものではありません。しかし、過剰になると不安障害という病気になりますので注意が必要です。
他人と比較せず、自分が好きな事や出来る事をして、自分の居場所を見つけ、自分を肯定し、自己を形成することが大切です。また、適度な運動や十分な睡眠も大切です。SNSは何となくだらだら見るのではなく、目的を持って見ることが必要だと思います。

投稿者 寺尾クリニカ | 記事URL

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