寺尾クリニカブログ

2025年12月 4日 木曜日

留学生のメンタルヘルスの問題

 先日、私の当院の心療内科に一人の中国人の留学生が来院しました。20歳の女子学生でした。
症状は不眠、過食、やる気がない(勉強する気がない)でした。
いろいろ話をしましたが、人間関係には問題はないようでした。
2年間ひとりで日本という異文化の中で、勉強と日常生活を一生懸命にやってきたのですが、本人の言葉で涙ながらに「もう疲れた、死にたい」といっていました。
この言葉を聞いて、私は日本の社会のメンタル的なサポ-トの不十分さを感じました。
確かに、自らの考えで異国にきて学ぶにはそれなりの覚悟が必要で、落ち込むのは、個人の気の弱さ、甘え、努力不足があるとして捉えられがちです。
この学生さんには友達がいて相談をしても、彼女の悩みを解決するには至らなかったようです。
ストレスにより不眠になり、過食で20Kgも体重が増加して、やる気がなくなり、死にたくなり大学の保険管理センタ-に相談し、休学という選択肢がある事を知りました。
そのあと、私の診療所を受診しました。昨年、一度風邪を引いて来院したときのカルテの記載がありました。1年前に比べて20Kgも体重が増えてました。
その日は、中国から来日したご両親と一緒に診察室に入ってきました。お父さんは、一生懸命に娘さんを思いやり、どうか助けてほしいと言わんばかりにお話しをしていました。
いろいろ、学生さんと相談して、薬は飲まずに中国に帰国して、しばらく休養をとり、再度日本で勉強をする事に決めました。
私は、大学へ提出する診断書を渡しゆっくり中国で静養するように言いました。それで、学生さんとご両親は少し安心されたようでした。

このように精神的に追い詰められる前に、大学がもう少し彼女に寄り添っていたら、良かったと思います。
心の不調というものは甘えからくるものではなく、寄り添い思いやることは、未来への投資であると思います。
メンタルヘルス対策の欠如は、人材を失い、信頼を低下させることだと思います。
大学からの病状提供はなく、診断書の提出などの依頼もなく、大学の実情はわかりません。
学生の心身を管理、サポ-トする体制が十分に整ってないことが想像できます。
一歩間違えば、命をなくしていたかもしれません。
今後このようなことが起きないように、大学には支援体制の充実が求められると感じました。
全国の大学や専門学校に同じレベルの支援体制を求めるのは難しいと思いますが、今後も留学生が増えてくると思いますので検討すべきだと思います。
学生さんが、親御さんのもとで静養し心身共に回復して、再び大学で勉強できる事をお祈り致します。


投稿者 寺尾クリニカ

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