寺尾クリニカブログ

2025年11月28日 金曜日

MASLD(マッスルド)は、近年、特に日本で患者数が増加し、大きな問題となっている病気の一つです

MASLD(マッスルド)は、近年、特に日本で患者数が増加し、大きな問題となっている病気の一つです。
< MASLDとは>
MASLDは「Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」の略で、2023年に従来のNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)から名称が変更された新しい疾患概念です。
これは、過剰な飲酒がないにもかかわらず、肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝をベースに、さらに以下の代謝異常を合併している状態を指します。
• 肥満(日本人ではBMIが23.0以上)
• 2型糖尿病
• 2種類以上の代謝異常(高血圧、脂質異常症、腹囲の拡大など)


< 日本人におけるMASLDの状況>
MASLDは、日本人が抱える健康問題として非常に重要です。
• 有病率の高さ: 日本におけるMASLDの正確な患者数は分かりませんが、肥満、糖尿病、脂質異常症の増加に伴い、今後もさらに増えることが予測されています。
• 非肥満型の多さ: 欧米に比べて、日本人はBMIがそれほど高くない非肥満のMASLD患者の割合が高いことが特徴です。
• 遺伝的要因: 日本人は、MASLDの進展に関わる特定の遺伝子型(PNPLA3の働きが弱い型)を持つ人の割合が比較的高く、これが非肥満型が多い理由の一つと考えられています。
• 肝硬変・肝がんへの進行: MASLDが進行してMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎、従来のNASH)になると、肝硬変や肝臓がんに進行するリスクがあります。
• 全身への影響: MASLDは肝臓だけの問題ではなく、心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)の発症リスクを約2倍以上高めることも報告されています。

< 診断と治療の基本>
MASLDは初期には自覚症状がないことがほとんどで、健康診断*肝機能の異常(ALTの上昇など)や腹部エコー検査で発見されることが多いです。
• 治療の基本: 現在、MASLDに対する特効薬はありません。治療の基本は、生活習慣の改善です。
o 体重減少: 体重の5%程度の減少で脂肪肝が改善し、7%程度の減少で肝炎の改善が期待できます
o 食事管理と運動: 摂取カロリーの適正化、特に糖質制限、および運動療法が非常に重要です
MASLDは、糖尿病や高血圧など、他の生活習慣病と密接に関連しているため、これらの病気と一緒に総合的に管理していく必要があります。



投稿者 寺尾クリニカ

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