寺尾クリニカブログ

2026年9月10日 木曜日

酒で亡くなる人はどれくらいいるのか―医師として見てきたアルコールの怖さ

「酒は肝臓に悪い」

これは、多くの人が知っていると思います。

しかし、アルコールが長期間にわたって身体を壊し、最終的には命を奪うことがあることを、どこまで理解しているでしょうか。

WHOによると、2019年には世界で約260万人がアルコールによって死亡したと推計されています。

アルコールによる健康被害は、大きく考えると、

①肝臓の病気
②がん
③その他の病気

に分けて考えることができます。

① 肝臓の病気
長期間の飲酒によって、アルコール性肝障害、アルコール性肝炎、肝硬変、肝不全などを起こすことがあります。

私は現在も、肝硬変の患者さんを何人も外来で診ています。

勤務医のときに、食道静脈瘤が破裂して大量出血を起こし、亡くなった患者さんも何人も経験しています。

肝硬変が進行すると、門脈圧が上昇し、食道などに静脈瘤ができることがあります。

普段は症状がなくても、破裂すると突然、大量に出血して命に関わります。

「酒を飲み過ぎると肝臓が悪くなる」というだけではありません。

その先には、肝硬変、食道静脈瘤破裂、肝不全という命に関わる病気があります。

② がん
アルコールは、さまざまながんとも関係しています。

特に、口腔・咽頭、喉頭、食道、肝臓、すい臓、大腸、乳房などのがんとの関連が知られています。

私はこれまで、食道がんの患者さんも実際に治療してきました。

食道がんでは、飲酒だけでなく喫煙も重なっている患者さんを多く経験しています。

また、肝がんが進行すると、腹水がたまる患者さんも少なくありません。

お腹が大きくなり、食事が取りにくくなったり、息苦しさが出たりすることもあります。

がんになってから治療するのではなく、がんにならないために何ができるかを考えることも大切です。

③ その他の病気
アルコールの影響は、肝臓とがんだけではありません。

高血圧、心臓の病気、脳卒中、膵炎、胃炎、逆流性食道炎、腎臓病、糖尿病、脂質異常症、アルコ-ル依存症、うつ病・不安障害など、おおくの病気に関係します。

つまり、アルコールは一つの臓器だけを傷めるものではありません。

身体全体に長期間の影響を与えるものなのです。

このように、アルコ-ルは全身に悪影響を及ぼし、重篤な疾患に至る可能性があります。外来では脂質異常症の患者さんが多いですが、多くのかたがアルコ-ルを飲んでいます。

アルコ-ルをやめるか、減らすことによりかなりの病気が減り、健康的な生活を送れると考えます。


投稿者 寺尾クリニカ

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